2020年を振り返る
これまで毎年、今年を振り返る系の記事を書こう書こうと思いながら書かずに年を越してしまう、という年末年始を送っていた。
根本的にめんどくさがりだし、そもそも普段からブログを書く習慣がついていないので、そんな急にやろうとしても無理だったわけである。
それと自分は年末になるとテンションが上がるので、ふつうに楽しく過ごすことを優先してしまいがちだった。酒飲んだりとか、美味いものを食べたりとか。
とはいえ、今年はいろいろあったし、どういうことがあってどういう気持ちだったのかをちゃんと残して置いた方が良いなと素朴に思っている。振り返りという行為は、意識してやらないとなかなかできなかったりする。自分はここ数年、いわゆるWeb系エンジニアと呼ばれるジャンルの仕事をしてきたが、そのなかでレトロスペクティブの重要性は身にしみている。ポストモーテムとかすることもあるし。
そんなわけで、今年はちゃんとブログを書いてみる。
今年はとにかく、多くの人にとって忘れられないような年になったのではないかと思う。世界的な情勢が変化する中で、生活が大きく様変わりした人も多いだろう。
自分の場合もそうした影響が大きいが、それとは違った形での変化も大きかった。
まず、自分は1990年生まれであり、2020年でちょうど30歳になった。やはり年齢による節目を感じる。ちょうど良いタイミングだと思い、結婚した。図らずもコロナ婚みたいな形になってしまったが、年齢というきっかけが大きかった。
次に、転職をした。前職は2年半ほど務めており、これまでいた会社の中で一番長く勤務していた。わりと居心地が良く楽しく働いていたのだが、今後のことなどを考えて転職した。新型コロナの感染症による影響や、結婚したことがきっかけになったわけではなく、昨年末くらいから少しずつ考えていたことであった。たまたまタイミング的に重なってしまったが、自分の中で明確にリンクしていたわけではない。
他の記事にも書いたが、今年の3月からしばらくの間はかなり不安な状態が続いていた。今後の情勢はどうなってしまうんだろう、世の中は大きく変わってしまうのではないか、生活はどうなるのだろう……と漠然とした不安を抱えてしまっていた。だが、数ヶ月が経過した今となっては、社会が根本的に揺らいで大きく変わるといったことはなく、自分の生活範囲については心配していたほど悪くはなっていない。なんとか折り合いをつけてやっていくことができるようになった。
あのとき抱えていた不安はいったい何だったんだろう、と今では思ってしまう。けれど、感染症の流行やそれに伴う社会状況の変化によって大きな影響を受けてしまった人は、間違いなく存在する。自分はたまたまそうじゃなかっただけなのだ。そういうことを、忘れないでいたい。
来年は、こういった気持ちの記録や振り返りなんかをちゃんとやるようにしていきたい。過去を振り返らないなどと言うとかっこいいけれど、基本的に先のことしか見えておらず、それによって良くないことになったりする可能性もある。
2020年に触れた文芸作品たち - コロナ禍における文芸、あるいは詩や短歌について
この記事は「文芸 Advent Calendar 2020」の20日目の記事です。
みなさん、文芸してますか?
私は普段から文芸に触れる機会があまり多いわけではないですが、なんとなく今年読んだものを紹介したいと思います。
少しだけ関わった本
小澤みゆき編『海響一号 大恋愛』海響舎
2020年のインディペンデント文芸誌に一大ムーブメントを巻き起こした(?)海響舎による『大恋愛』です。小澤さんは今回のアドベントカレンダーの主催者でもあります。
少しだけ編集のお手伝いみたいなことをやりました。装丁がきんぴかで、かなり良いです。もちろん、内容も最高です。
前作の『かわいいウルフ』は、なんと商業出版社から書籍化するそうです。私の書いた文章も載っており、ぜひたくさんの人に読んでもらいたい2冊です。
#コンテンツ地獄 で発表しましたが、『かわいいウルフ』が書籍になってパワーアップして帰ってきます。ウルフ没後80周年の2021年3月に亜紀書房さんより発売予定です。がんばっていいものにしますので、ぜひ今後もよろしくお願いいたします!
— miyayuki (@miyayuki777) 2020年12月27日
コロナ禍における文芸
ヴァージニア・ウルフ『病気になるということ』早川書房(片山亜紀訳)
ヴァージニア・ウルフは、小澤さんとの繋がりで少しずつ読むようになりました。
こちらのnoteは『コロナの時代の僕ら』の出版に併せて掲載されたものです。いわゆる「スペイン風邪」に感染したウルフが、どのような気持ちで過ごしていたのかが書かれています。
コロナ禍ということもあり、感染症による大規模な社会不安の中で過去の人々がどのように乗り越えてきたのかを知りたい気持ちがあり、読みました。
自分が不安なときに、他の人の不安に触れることができると、なんだか安心できる気がします。
パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』早川書房(飯田亮介訳)
コロナ禍のイタリアにおいて緊急出版された本です。日本でも4月に訳書が出ており、かなりスピード感を持って出版された本だと思います。
当時は、他の国の状況をまとまって読めるものが少なかったと感じていていました。そうしたなかで、現地の作家による当時の記録や、率直な想いが綴られている本書に、少し助けられたような気がしています。
上記noteにも掲載されている著者あとがきの、「僕は忘れたくない」というフレーズの繰り返し部分が印象的です。こういった出来事があったときのことを記録しておくことの意味を感じます。
詩集
コロナ禍という状況は、多くの人にとってなにかしら良くない影響があったと思います。自分の場合は、文学との関連でいうと3月からしばらくの間は長い文章が読めなくて困りました。
そのため、短い文章なら読めるんじゃないかという理由で、今まであまり読んだことのなかった詩や短歌なんかをいくつか読んだりしていました。結果的に、良い出会いがあったように思います。
江國香織『すみれの花の砂糖づけ』新潮社
実は江國香織は、小・中学生のころに『きらきらひかる』『冷静と情熱のあいだ』を読んで以来でした。詩集も出ていたとは知りませんでした。
本書は、〈少女〉から〈女性〉へ、みたいな流れがあるように思います。甘いはずの「砂糖」という言葉が、形を変えて何度もリフレインしていき、思い出と現実のあいだを行ったり来たりしているような詩集だと感じました。
銀色夏生『詩集 すみわたる夜空のような』KADOKAWA
まえがきもあとがきも解説もなく、詩だけが書かれている本です。書籍として閉じていない分、かえって作品としての余白が多く想像する余地が膨らむように思います。
暗くて静かな空間で読むと、とても浸れて良い気がします。
穂村弘・東直子『回転ドアは、順番に』筑摩書房
詩というか短歌メインの本なんですが、短歌にはそれぞれ詩のような文が添えられており、短い文でもたくさんのものを読み取れる本だと思います。
コンセプトとしては、2人の著者が短歌をメールで送り合う本です。おしゃれですね。LINEでもこういうやりとりをみんなやると良いと思います。
短歌
阿波野巧也『ビギナーズラック』左右社
いつものようにTwitterをだらだらと眺めていたところ、下記のツイートがタイムライン上に現われました。
はてなブログに投稿しました #はてなブログ
— 三宅香帆 (@m3_myk) 2020年8月17日
『ビギナーズラック』という京大出身の方の歌集があまりに泣けたので、個人的感想書き残しておかねば(泣)と謎の使命感にかられて感想書きました。
忘れることは… 歌集『ビギナーズ・ラック』によ…https://t.co/I8EPNpvcAs
本書の紹介noteなわけですが、引用されている歌を目にして衝撃を受けました。こんな身近な事象を短歌として表現できるなんてすごすぎる、と思ったのです。
カロリーの摂取にメロンパンはいい となりでケンカしている男女
ほんとうのことはなんにも言わないでぼくたちは深夜のなか卯なう
見てきたことを話してほしい生まれ育った町でのイオンモールのことを
憂鬱はセブンイレブンにやって来てホットスナック買って食べます
完全にパンチラインでしょ。もし大学生のときにタイムラインに流れてきてたとしたら、完全に食らってたと思う。
そんなわけで、ちょうど長い文章を読む気が起きない時期だったこともあって読んでみました。とても良いです。
私のように、あまり短歌に触れたことのない人にも読んでもらいたい歌集です。
川野芽生『Lilith』書肆侃侃房
たまたま知っている方が実は短歌の人だったということを知り、初の歌集が出るとのことだったので買って読みました。
今回のアドベントカレンダーでも、下記の記事で紹介されている本です。
Bist du schon mal da? — たましいの器が人間のおんなの形をしていることが苦しい。長く美しく伸ばした髪を「女性らしい」と形容される...
この本は、装丁がとにかく美しいです。内容についても、出てくる言葉の一つ一つが鋭く、かつ美しい本です。
さまざまな文学的あるいは社会的な背景が踏まえられている歌集ではありますが、あまり深く考えなくても、刺さるものがあるように思います。
眠りとは夜ごと織りなす繭にして解るるをよもすがら繕ふ(22頁)
書架の間を通路と呼べりこの夏はいづこへ至るためのくるしさ(48頁)
にんげんに美貌あること哀しめよ顔もつ者は顔伏する世に(109頁)
ヴァージニア・ウルフの住みし街に来てねむれり自分ひとりの部屋に(147頁)
その他、昔読んだ本の再読
真木悠介『気流の鳴る音』筑摩書房
前に読んだのは5年以上も前になります。
本書にもある「根をもつことと翼をもつこと」という言葉を折に触れて思い出します。自分の理解では、これはアンソニー・ギデンズにおける〈脱埋め込み/再埋め込み〉の概念に近いもののとして捉えています。
世界や社会との関わり方について、いろいろと考えるなかで参考になる本だと思います。久しぶりに読み返しましたが、感じるものがとても多い本です。定期的に読み返したいと思います。
おわり
私は普段から文芸に触れる機会があまり多いわけではないですが、実は今年はかなり多くの文芸に触れることができた年なのではないかと思います。
なんとなく気持ちが不安なときに、寄り添ってくれるものとして自分にとって文芸は大きな位置を占めているように思います。
もちろん、そうでないときも読んで楽しかったり、感じるものが多かったりして、得るものがとても大きいです。
2021年は、今年とは違った形で、文芸にたくさん触れることができたら良いなと思います。
ステイホームとクラフトビール
この記事は「craft beer Advent Calendar」の14日目です。
今年は3月ごろから在宅勤務が始まり、休日でも例のステイホームによって家にいる時間が長くなった。
経済的な自粛の影響で地方の果物や野菜やら肉やら豊洲の海鮮物やらが安くなっていたようで、Twitterの人々や周りの友人たちが取り寄せているのを見てなんだかうらやましく思い、ステイホームのうちに自分もやってみようと思った。
初めはお菓子でも取り寄せるかーと、じゃがポックルや萩の月や赤福なんかを取り寄せていた。肉や海鮮物も取り寄せてみようと思いいろいろ見てみたが、途中で探すのが面倒になってしまった。最適なやつをレコメンドしてほしいわけよ。
そんななか、ふとクラフトビールが気になった。普段からビールが好きで良く飲んでいるがあんまり詳しいわけではないので、これを機に美味しいビールでも取り寄せるかーと思い、いろいろ買ってみた。
最初は伊勢角屋麦酒で定番セットみたいなやつを頼んでみて、これがかなり良かったりした。
緊急事態宣言があけた後も、幸運なことに(?)ずっと在宅勤務が続いている。好き好んでステイホームを継続中のため、ビールの取り寄せもどんどんやっている。
調子に乗っていろいろなところからビールを取り寄せまくっていたら、冷蔵庫の中がビールだらけになってしまい、家族から怒られが発生したりしていた。
ビールいっぱい取り寄せて冷蔵庫の中をビールだらけにしてたら妻が発狂した
— とばち (@toda_kk) November 10, 2020
これまでに飲んだビールの感想とかはScrapboxで雑にメモしている。「うまい」か「めっちゃうまい」しか言ってない。
飲みすぎるのも良くないので、週に3日にするとか、毎日は飲まない(最低1日は開ける)とか、そういうルールを自分のなかでつくっている。
そんなわけで、クラフトビール歴が浅いなりにかなり良かったやつを紹介してみる。
T.Y. HARBOR
東京の天王洲アイルにあるブルワリーらしい。そういえば、ふらふら歩いているときに見かけたことがある気がする。
上で書いた定番セットみたいなやつに入っており、クラフトビールの入門としてはかなり良かったと思う。
Imperial Stout
これを飲んでスタウト、というか黒ビールに対する印象が大きく変わった。それまではコンビニやスーパーでてきとうに買ったギネスの缶のやつしか飲んだことがなかったが、どうにも苦手だった。
しかし、こいつは飲みやすくて、うまい。コクもあり、ぐびぐび飲むよりも甘いものなんかをつまみながら時間をかけて飲むのが良い気がする。
なんにせよ、最初に頼んだスタウトがこいつで良かった。
箕面ビール
大阪・箕面(みのお)で生まれた地ビール 箕面ビール ::: MINOH BEER
大阪のブルワリー。名前をよく聞く気がするし、クラフトビールであればかなり定番っぽい気がする。
大阪に行くことがあれば、ぜひ直営店を訪れてみたい。
W-IPA
今までIPAというのがどういうやつかよくわかっていなかったが、どうやらホップをたくさん入れることで香りと苦味が強く出ているらしい。
こいつも香りとコクが強く出ているが、飲んでいるうちにだんだんとクセになり、かなり美味しく飲めた印象がある。
門司港レトロビール
福岡のブルワリー。ここも名前をよく聞く気がする。
全体的にかなり自分の好みで、がぶがぶ飲めてしまい危ない。
ヴァイツェン
https://mojibeer.ntf.ne.jp/beers/#weizenmojibeer.ntf.ne.jp
嫌なクセが少なく、甘い上にコクがありたくさん飲める。いろんな人におすすめしたい。
ヴァイツェン・ストロングも飲んだが、ふつうのヴァイツェンと今後に飲むと違いが感じられてどんどん楽しくなれる。
いわて蔵ビール
いわて蔵ビール – クラフトビール | 世嬉の一酒造(せきのいち)
名前の通り岩手のブルワリー。たまたま知ったのだが、めちゃ良かった。
ペールエールもヴァイツェンもスタウトも全部うまい。とにかく気に入ってしまい、何度も頼んでしまい危ない。
とりあえず全部飲んで欲しいが、自分が飲んだなかで少し変わったビールを紹介しておく。
ジャパニーズ山椒
山椒である。今回のアドベントカレンダーの主催者に勧められて飲んでみたら、かなり良かった。
山椒飲みましょ
— へろっし (@helosshi) 2020年11月19日
山椒らしくちょっとしたピリッと感があるが、それほど刺激は強くなく、むしろ香りが良くて飲みやすい気がする。いつもと少し違うビールが飲みたいときように買い占めておきたい。
オーガニック自然発酵ビール
麦芽、ホップもオーガニック認定品を使い体に優しいビールです。
よくわからないが、とにかくオーガニックらしい。公式サイトにこう書いてあるのだから、身体に良いに違いない。毎日飲もう。
口当たりがまろやかで飲みやすいくせに飲みごたえや満足感が強く、今日は何を飲もうかなと思ったら全部これで良い気がする。鬼リピしたい。
もはやこの記事もこいつを紹介するために書いたと言っても過言ではない。最高に違いないので、みなさん飲みましょう。
おわり
というわけで、個人的に今年飲んで良かったビールを紹介してみた。ここに挙げたものは、今後もリピートして飲んでいくことになると思う。
2020年は良い出会いがたくさんあり、紹介しきれなかったブルワリーやビールにも、良いものがたくさんあった。2021年も、無理なく楽しく新しいビールと出会っていきたい。
Web系エンジニアにおける生産性って何だろう?
この記事は「#しがないラジオ Advent Calendar 2019」 8日目の記事です。
はじめに
私は、しがないラジオのテーマ通り、「SIerのSEからWeb系エンジニアに転職した」エンジニアです*1。現在は、toC向けWebサービスを展開している(いわゆる)ベンチャー企業にて、フロントエンドやサーバーサイドの実装からインフラ構築までいろいろとやっています。
さて、エンジニアに限らず、労働をしているとさまざまな場面で「生産性」という言葉が話題にあがると思います。
例えば、自分のルーチンワーク的な業務を効率化して生産性を上げようとか、アジャイルやスクラムを導入してチームの生産性を上げようとか、リモートワークでは個人の生産性が測れないのでWebカメラをつけて記録しようとか、「働き方改革」によって残業時間は減ったけど仕事量は変わらないので生産性を上げるしかない、とか*2。日々労働をするなかで、生産性について考えることは多いのではないかと思います。
しかし、そもそも生産性とは何なのか、自分ではよくわかっていません。なんとなくのイメージはつくけれど、どのように定義されるのか、またどのように測られるのか、明確に答えられる自信がありません。そのため、誰かが生産性について言及しているのを目や耳にすると「あなたにとっての生産性とは?」と聞いてみたくなってしまいます。
では、Web系エンジニアやソフトウェアエンジニアにおける生産性とは、いったいどのように定義されるのでしょうか?
*1:ただ、しがないラジオが転職の直接のきっかけになったというよりは、もともと考えていたことを後押ししてくれたという感覚です。いずれにせよ、しがないラジオに出会えたことは僕にとっては幸運だったと思います。
*2:なんか後半ネガティブな感じになっちゃいましたが、別に「生産性」という言葉にそういう印象を持っているということではないです。
MoneyForward + Googleスプレッドシートで家計管理
id:tobachi もしくは @toda_kk です。
この記事は Spreadsheets/Excel Advent Calendar 2018 - Adventar の18日目の記事です。
前置き
正直、↑のアドベントカレンダーの趣旨をわかってないです*1。4日目の記事 を書かれた id:mitsuba3 さんと、22日目を担当される予定の id:nhayato さんに誘われて勢いで登録してみたものの、何を書けば良いかわかっていません。
ぜんぜん関係ないポエムでも投下しようかとも思いましたが、さすがに場を荒らすだけになっちゃうかなと思い自粛しました*2。
というわけで、タイトルの通りMoneyForwardとGoogleスプレッドシートを使って家計管理をしている話を書きます*3。
システム構成と管理手順*4
以前から収支管理のためにMoneyForwardを使っています。現金を使うことがあまりないため、お金の流れをほとんど自動で管理することができて気に入っています。
MoneyForwardは本当に便利で、単に収支を入力するだけでなくさまざまな形で分析してくれます。カテゴリごとに予算設定などもできるので、月ごとの支出状況も簡単に確認できて非常に使い勝手が良いです。
家計管理するようになると、次は貯金がしたくなってきます。貯金の目標額を設定して、予算に収まるように支出をコントロールしたいと考えています。
MoneyForwardではありがたいことにカテゴリ分けがしっかりされているのですが、自分の場合はもうちょっとざっくり把握したいと思っていて、特に支出額を次のような形で把握したいと考えています。
- 支出額
- 目標額: ふつうに生活していたらこれくらいは使うだろう、という金額
- 残余分: 家具や家電など大きな買い物をしたり、ちょっと贅沢をしたり、貯金に回したりする部分
こんなわけわからん家計管理の仕方をするのは自分くらいでしょうが、とにかくこういう形で支出を管理するのはMoneyForwardだけでは難しく、ぽちぽり集計する必要がありそうです。
そこで、MoneyForwardから月ごとの収支情報をCSV形式でエクスポートし、データをGoogleスプレッドシートで読み込むことで好きに集計したり表示したりできるのではないかと思い、もろもろ工夫してみました。
全体の手順としては下記の通りとなっています。赤枠の部分が自動化される部分です。
- MoneyForwardからCSVを手動でエクスポート*5
- CSVファイルをGoogleドライブに手動でアップロード
- CSVファイルがアップロードされたら、事前に準備したGoogle Apps Scriptが実行されスプレッドシートに読み込まれる
- スプレッドシートで集計、表示される
- スプレッドシートを閲覧することで収支を確認できる
- ハッピーになれる
ところで、普段からGoogleスプレッドシートをめっちゃ使いこなしているかというと、全くそうではありません。仕事でたまに使いますが、手軽に表形式を使えるツールとして使うくらいで、がっつり表計算をしているかと言われるとかなり微妙です*6。
スクリプト作成
MoneyForwardでCSVファイルをエクスポートすると、下記のような形式で出力されます。「計算対象」という列があったりして、便利ですね。
事前にざっくりとしたスプレッドシートを作成しており、これでなんとなく家計管理をしていました。
今回は下記のようなスクリプトを作成し、このスプレッドシートを上手いこと更新していきます。
- スプレッドシートを起動したときに実行される
- CSVファイルの内容を計算し、支出額のうち「目標額」を超える分の金額を「残余分」の金額として集計する
- 毎月の支出を一覧で確認できるように、1シートに表形式で表示する
スクリプト実行のトリガーを設定することができるので、スプレッドシートを起動したときに実行されるように設定しておきます。
あとはアップロードしたCSVを元に支出額を計算するようなスクリプトを書きます。詳細は省きますが、技術的な部分は下記の記事を参考にして作成しました。
Google Apps Script で Spreadsheet にアクセスする方法まとめ - Qiita
csvをGoogle スプレッドシートに定期的に反映させる | Tips Note by TAM
まとめ
そんなわけで、支出の情報入力はMoneyForwardを使いつつ、集計と確認にはGoogleスプレッドシートを使うようにしました。シートとスクリプトをいじれば表示形式も好きにできるので、良い感じなんじゃないかと思います。
明日は id:decobisu さんです。お楽しみに!
*1:じゃあ一つ前の記事のときは趣旨がわかってたのか? と聞かれれば、もちろん、わかってなかったです。すみませんでした。
*2:主催者の@minemura_coffee さんはこのアドベントカレンダーで小説を連載されている。とても面白いので、みなさん読みましょう。
*3:家計管理の話でいうと、すでに id: Sixeight さんが スプレットシートを使った簡単な家計の管理 - ちなみに を書かれています。めっちゃもろ被りですが、同じ目的でも違う使い方もできるよ、というような意味合いでこの記事にも存在理由を見い出すことができるんじゃないかと祈っています。
*4:なんて仰々しい見出しなんだ! 筆者はこの記事をSIerの設計書か何かと勘違いしてるんじゃないだろうか。そんなわけがない。
*5:残念なことに、2018年12月現在MoneyForwardさんは個人で使える連携APIのようなものは提供されていないようです。
せめて生きてから死ね
この記事は 人生 Advent Calendar 2018 - Adventar の9日目の記事であり、また、自分自身に宛てた人生についてのポエムです。
概要
以下について書きます。
- とりあえず生きのびてみる
- 人生の意味
- 具体的なことを考える
とりあえず生きのびてみる
自分は鬱になりがちな傾向があり、そういうときはどうしても「生きるか死ぬか」みたいな思考になりがちである。
そんなときはたいてい、こち亀の「悩んだらまず『生きる』モードに切り替えてからスタートだ!」という画像を思い出す*1。
「とりあえず死ぬ」という選択を取ることは簡単で、首を吊ってもいいし屋上から飛び降りてもいい。しかし、死んでからまたもう一回生きることはできない*2。それなら、とりあえず生きてみて、どうしようもなくなってから死ぬのでも遅くはないんじゃないだろうか。
そんなゆるっとした考えで、ひとまず生きのびてみるという選択を取り続けてなんとか今まで生きてこれた気がしている。
人生の意味
たくさんの人間が「人生の意味とは何か」みたいなことで悩み出したのって、近代以降の出来事なんじゃないかとなんとなく感じている。
古代ギリシャの時代から「善く生きるとはどういうことか」ということはずっと考えられてきたと思うけど、それは哲学者や支配階層のひとびとの話で、いわゆる一般庶民の人々や、それこそ奴隷として扱われていたひとびとにとっては、あんまり関係なかったんじゃないかと勝手に思っている。
そもそも近代以前*3、人間の命の価値はそんなに重くなかった。例えば、子どもの生存率は今よりも低かったので、たくさん産んで上手く生き残れるやつがいれば良し、みたいな感じだったんじゃないだろうか。また、今みたいに子どもは家族や地域みんなで守り育てるものというより、特に農村部では単なる労働力として扱われていたらしい。フィリップ・アリエス『〈子供〉の誕生』という本にそんな感じのことが書いてあった気がする*4。
そういう時代と比べると今の社会はとにかく変化が激しいから、不安になったり生きづらさを感じたりしてしまっても仕方ないかなと思ってしまう。まあ人は鬱になったりするもんだと思っておくと良いかもしれない。
「人生の意味とは何か」「自分は何のために生まれてきたんだろう」みたいなことで悩み出すと、ひたすら落ち込んでしまいがちである。「そんな悩みこそ意味がない」とか「人生の意味を見つけるのが人生だ」とか言われるかもしれないけど、そんなマッチョなこと言われてもなーって感じだ。
「悩んでもしょうがない」みたいなノリにはどうしても乗れなくて、むしろ悩み始めてしまったときはとことんまで悩み抜いてみるのも良い気がしている。その先に何らかの答えが見い出せればそれはハッピーなことだし、何もわからなくても「とりあえず悩んだ」という経験自体に意味を見出すこともできる。いったん死なない程度に悩んでみるのは、けっこうありな気がしている。
具体的なことを考える
落ち込んでしまったときに、具体的に死ぬ計画を立ててみるのはわりとありなんじゃないかと思っている。例えば、1990年代に話題にも問題にもなった鶴見済『完全自殺マニュアル』はそんな感じの本だと思う。意外とあっさり死ねるんだな、人生なんてあっけないんだな、みたいに思えると自分の命を重くとらえすぎなくて済んで、なんとなく元気になれるんじゃないだろうか*5。
そもそも「生とは」「死とは」「人生とは」みたいな抽象的なことを鬱っぽいときに考えても良くないと思う。そういうことは元気でエネルギッシュなときに考えて答えを見出せば良いので、元気がないときはむしろ具体的なことに思考を落とし込んだ方が悩みが軽くなる気がする。
特に数字に換算できるほど具体的なことを考えられると、いろんなことを可視化しやすくなって良いと思う。自分が今年鬱っぽくなったときは、「とにかく映画をたくさん観る」という目標を立ててみた。「今年中に50本以上映画を観る」というような形で具体的な数値目標を立てて、その実現のために月単位・週単位の計画を立てて実行していた。そうすると、ひとまず目の前のことに集中できるし、人生に実益のなさそうな目標でもとにかく達成できれば嬉しい気持ちになれる。金銭とは異なる形で数字の奴隷になってみるのはわりと気分が良い体験だと感じた。
まとめ
そんなこんなで、今年もなんとか生きのびることができた。もちろん、上記のような考えですべての人の悩みが解消できるとは思っていない。結局これも文字通り生存バイアスであるし、意図するにせよしないにせよ、本当にどうすることもできずに死んでしまう人もたくさんいると思う。
ただ、生きるか死ぬかを選択することのできる状況にあるなら、せめて生きてから死ね。生と死が同価値ならば、死を選択するのと同様に生を選択することも可能なはずだ。いったん生きてみてから死んでみるのも、そんなに悪い選択ではないだろう。
来年もまた生きのびられると良いな*6。
*1:こち亀 生きる - Google 検索 Twitterでもたびたびバズってる気がするので、よく目に入る。
*2:輪廻転生とかはよくわからない。
*3:「近代」とかいうよくわからない言葉を使っているが、ひとまず自分は「市民革命・産業革命・科学革命の進展、そして資本主義の浸透以降の時代」というゆるい理解のもとで言及している。専門家さんとかには怒られそう。
*4:ちなみに僕はこの本を読んでいない。
*5:他にも、雨宮処凛『自殺のコスト』という、自殺するとどれほど金銭的なコストがかかってしまうのかを淡々と記述した本がある。しかし、僕の場合はこれを読むと逆に、憂鬱な資本主義リアリズムに憑りつかれる感じがして、元気がなくなってしまう。
*6:でも、あんまり先のことを考えすぎるとまた抽象的な思考に陥ってしまうので、元気じゃないときは明日のこととか1週間後のこととか、長くても3か月後くらいのこと考えればそれでよいと思う。あなたの人生に幸あれ。